2013 年 4 巻 2 号 p. 154-159
急性腎傷害(AKI)は心臓血管外科手術後にしばしば発生する重篤な合併症である。そのAKIの治療法のひとつとして持続的腎機能代替療法(CRRT)が用いられるが,離脱もしくは間歇的透析への移行時期について検討した報告は少ない。心臓血管外科手術後に発症したAKIでかつ人工呼吸管理が行われた症例について,人工呼吸器装着の有無とCRRT再導入率を電子カルテで後方視的に検討した。対象をCRRT離脱時点で人工呼吸器が装着されていた装着群(32例)とすでに外れていた非装着群(41例)に分けた。その結果,装着群は離脱時の体重変化率が多く,sequential organ failure assessment(SOFA)score,中心静脈圧は有意に高かった(p<0.05)。さらに,CRRT再導入率も装着群で有意に高率(p<0.01),再導入への調整オッズ比は5.20(95%CI:1.15~23.4)であった。心臓血管外科手術後のAKIにおいて,CRRTを離脱する際には,腎機能だけでなく,人工呼吸器装着の有無も考慮に入れる必要があると考えられた。