2014 年 5 巻 1 号 p. 85-87
後天性第V因子(FV)inhibitorはまれに致死的出血を呈することがあり,手術適応の判断が難しい。治療法として免疫抑制療法や血漿交換などが推奨されているがその効果は確立されていない。【症例】81歳,男性。Burn Index 35の重症熱傷に対して,第7病日にデブリドマン・分層植皮術を施行した。術後よりINR,APTTが徐々に延長し,ビタミンKとFFPを投与しても凝固系は改善せず,予定していた2回目の植皮術は延期した。INR 4.78,APTT 124秒,FV活性<3%,Cross mixing testのinhibitor patternからFV inhibitorの存在を疑い,inhibitor除去目的に第19病日から血漿交換(PE)を行った。INR,APTTは一過性にしか改善せず,第21病日よりprednisolone(PSL)を開始した。後日,第18病日のFV inhibitorが 64 Bethesda U/mLと分かり,診断が確定した。PSL開始後もINR,APTTは改善せず,第46病日から再度PEを行ったが,効果は一過性だった。第67病日のFV inhibitorは59 Bethesda U/mLであった。【考察】PEはFV inhibitorに対する根本的な治療法ではなく,施行するに当たりその適応や時期を十分検討する必要がある。