日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
症例報告
持続的血液濾過透析における小分子物質の減少率についての比較検討
塚本 真貴土井 研人山下 徹志中村 元信矢作 直樹南学 正臣野入 英世
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2014 年 5 巻 2 号 p. 153-155

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抄録

尿素(UN),クレアチニン(Cre),尿酸(UA)は腎不全で血中濃度が上昇するため,腎不全の程度や血液浄化療法の治療効率測定に用いられる。しかし内因性の産生速度,体内分布容積が異なるため,血中濃度の減少率は異なる可能性があると考え,それを明らかにすることを本研究の目的とした。2013年1月から8月に東大病院ICUでCHDFを48時間以上施行された21症例を対象とし,CHDF開始時,24時間後,48時間後に測定されたUN,Cre,UAの血中濃度を用いて,開始時の血中濃度からの減少率を算出した。各分子の減少率はUN 23.2±24.2%(24h),36.2±35.4%(48h),Cre 25.8±23.9%(24h),40.2±29.3%(48h),UA 39.9±17.7%(24h),58.1±19.8%(48h)であり,24時間後および48時間後においてUA減少率はUNの減少率と比較して有意に高かった。このことから従来のUN, CreだけでなくUAの減少率もCHDF施行時の除去効率の指標として有用である可能性が示唆された。

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© 2014, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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