日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
急性腎代替療法を要した敗血症性急性腎障害と非敗血症性急性腎障害の特徴と予後の比較
岩上 将夫土井 研人康永 秀生野入 英世
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2015 年 6 巻 1 号 p. 40-45

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抄録

[目的]日本の集中治療室において急性腎代替療法(RRT)を開始した敗血症性急性腎障害(AKI)と非敗血症性AKIの特徴と予後を比較する。[方法]2011年のDiagnosis Procedure Combination(DPC)データベースを用いて,集中治療室で急性RRTを開始した成人について,敗血症群と非敗血症群に分け,年齢・性別・入院からRRT開始までの日数・RRTモダリティ・RRT開始日の治療内容・病院の特徴を比較した。院内全死亡率を比較し,カプランマイヤー曲線を描出した。多変量ロジスティック回帰分析を行い敗血症性AKIと非敗血症性AKIの院内死亡との関連を検討した。[結果]対象7,353人のうち,2,523人(34.3%)が敗血症性AKI群であった。敗血症性AKI群の方がわずかに高齢,男性の割合が少なく,CRRTを選択される頻度が高く,重症病態を反映した治療を受ける傾向にあった。院内全死亡率は敗血症性AKI群53.6%(1,353人/2,523人),非敗血症性AKI群42.2%(2,038人/4,830人)であった(P値<0.001)。調整後オッズ比(敗血症性対非敗血症性AKI群)は1.212(95%信頼区間1.086-1.353)であった。[結語]敗血症性AKIは非敗血症性AKIに比して重症であり,死亡率が高く,また独立して予後と関連していた。

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© 2015, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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