日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
In vitro評価による小児急性肝不全患者を想定した浄化量設定の検討
森實 雅司永渕 弘之鈴木 秀典半田 麻有佳相馬 良一佐藤 亜耶十河 剛乾 あやの川本 愛里角田 知之高橋 宏行藤澤 知雄
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2015 年 6 巻 1 号 p. 46-51

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抄録

【目的】体重10~15kgの小児急性肝不全患者を想定し,異なる膜面積下に血流量(QB),透析液流量(QD)を変化させた際の溶質クリアランス(CL)を評価する。【方法】膜面積は0.3m2と0.7m2,モードは持続的血液透析(CHD),QB:20,40,80mL/min,QD:20,40,80mL/min,測定対象溶質は尿素(Urea),クレアチニン(Cr),無機リン(IP),ビタミンB12(VB12)とし,CLとマスバランスエラー(%MBE)を算出した。【結果】Urea,Cr,IPのCLはQB,QDに依存し,膜面積の影響は少なかった。VB12ではQDだけでなく,膜面積の増量によりCLは増加した。すべての結果で%MBEは±30%以内であった。【考察】小分子量物質のCLは主としてQB,QDに依存し,急性肝不全で標的物質と想定される中分子物質のCLは膜面積を上げることでさらなる増加を見込めると考えられた。【結語】体重10~15kgの小児急性肝不全患者において,膜面積を0.3m2から0.7m2へ増大することは中分子量物質の除去効率向上と肝性昏睡からの離脱に有利となる可能性がある。

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© 2015, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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