日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
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症例報告
致死性不整脈を認めた急性テオフィリン中毒に対して直接血液灌流・持続的血液濾過を施行した1症例
安達 普至吉本 広平臼元 典子鮎川 勝彦
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2015 年 6 巻 1 号 p. 71-73

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抄録

【症例】82歳,女性。気管支喘息に対してテオフィリン内服中であった。喘息発作を認め,近医でヒドロコルチゾン・アミノフィリンを投与後に当院に搬送された。来院時,K:3.4mEq/L,テオフィリンの血中濃度(STC):33.7μg/mLであった。同日夜にTorsade de Pointes(TdP),ventricular fibrillation(VF)を認め,第2病日にも再度TdP,VFを認めた。K:3.0mEq/L,STC:19.8μg/mLで,心電図のCorrected QT Interval(QTc):483msecだった。直接血液灌流(DHP)と持続的血液濾過(CHF)を直列回路で行い,DHPは4時間で終了し,その後はCHFのみ行った。DHP終了後のSTC:5.9μg/mLで,第3病日のSTC:2.3μg/mLでCHFを終了した。DHP施行中より心室性不整脈は消失し循環動態は安定した。【結論】本症例は,テオフィリン中毒,低K血症,QT延長などの病態が絡み合い,致死性不整脈を起こしたと考えられた。テオフィリン中毒は,血中濃度だけでなく臨床症状を含めて総合的に判断する必要があり,その治療にDHPとCHFは有効であった。

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© 2015, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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