日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
尿中L-FABP測定によるICU患者の腎長期予後の予測
一色  玲土井 研人住田 真貴濱崎 敬文松原 全宏石井 健矢作 直樹南学 正臣野入 英世
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2015 年 6 巻 2 号 p. 124-128

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抄録

従来,AKIは可逆性の病態と考えられていたが,近年AKIとその後のCKD発症ないし増悪が強い相関を示すことが複数報告されている。尿中バイオマーカーがICU患者の腎長期予後を予測しうるか検討すべく,混合型ICUに入室した成人495例に対して入室時の尿中バイオマーカー値 (L-type fatty acid-binding protein (L-FABP), neutrophil gelatinase-associated lipocalin (NGAL),N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG))を測定し,ICU退室から3年後に経過を追うことができた169例について腎機能悪化(eGFR 1/2未満への減少あるいは維持透析への移行)との関連を評価した。腎機能悪化群では非悪化群と比較しL-FABP,NGALの値が優位に高値であった。ステップワイズ多変量解析により腎機能悪化に影響を及ぼす因子として抽出されたバイオマーカーはL-FABPのみであり,ROC解析ではAUC-ROCは0.69であった。ICU入室時のL-FABP値は腎長期予後の予測に有用である可能性が示唆された。

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© 2015, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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