2015 年 6 巻 2 号 p. 145-148
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の患者に対し血漿交換(PE)と血液透析(HD)を併用した1例の抗凝固剤の投与量について検討した。症例は70歳代,男性。2011年9月,急性腎障害(AKI)によりHD導入,同年10月TTPの診断となりPE開始。せん妄症状があったため,治療時間短縮を目的に同年11月よりPEとHDの併用を25回施行。回路構成はHD回路をベースにHD回路前にPE回路を準直列に構成し,抗凝固剤としてメシル酸ナファモスタット(NM)を使用,PEとHDの両回路から30mg/hr毎にて投与した場合とPEの回路からのみ30mg/hrにて投与の場合について,①血漿分離器前,②血漿分離器後,③ダイアライザ出口部の3ヵ所で活性化凝固時間(ACT)を計測し比較した。結果はNMの投与量にかかわらずダイアライザ出口部のACTは平均330秒程度であった。また回路内凝固は認められなかった。PEとHDを併用することで,抗凝固剤の投与量を抑え安全に治療することができた。