日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
総説
敗血症性多臓器不全に対する血液浄化法
服部 憲幸渡邉 栄三安部 隆三中田 孝明立石 順久高橋 和香松村 洋輔織田 成人
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2016 年 7 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

近年,過剰に産生されたメディエータを血液浄化法により除去することが,敗血症性多臓器不全の予防,治療につながると考えられているが,エビデンスレベルの高い報告は少ない。それらのメディエータは施行条件の工夫により,濾過,透析,吸着いずれの原理でも除去可能であるが,濾過や透析の効率を大幅に増加させる方法では薬剤や栄養素などの有用物質の喪失が大きく,前者は複数の大規模randomized control study(RCT)で有用性が否定されている。他方,ポリメチルメタクリレート膜ヘモフィルターやAN-69ST,oXiris®などのサイトカイン吸着ヘモフィルター(CAH)を用いた血液浄化法は,複数のcase seriesで有用性が示されている。CAHの有用性をさらに証明するためには大規模RCTを行う必要がある。CAHの有用性を示したcase seriesは対象症例の重症度が極めて高く,今後計画されるRCTでは,サイトカイン血中濃度の測定や重症度スコアなどにより重症例のみを抽出することが重要である。

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© 2016, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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