2016 年 7 巻 1 号 p. 13-19
近年,過剰に産生されたメディエータを血液浄化法により除去することが,敗血症性多臓器不全の予防,治療につながると考えられているが,エビデンスレベルの高い報告は少ない。それらのメディエータは施行条件の工夫により,濾過,透析,吸着いずれの原理でも除去可能であるが,濾過や透析の効率を大幅に増加させる方法では薬剤や栄養素などの有用物質の喪失が大きく,前者は複数の大規模randomized control study(RCT)で有用性が否定されている。他方,ポリメチルメタクリレート膜ヘモフィルターやAN-69ST,oXiris®などのサイトカイン吸着ヘモフィルター(CAH)を用いた血液浄化法は,複数のcase seriesで有用性が示されている。CAHの有用性をさらに証明するためには大規模RCTを行う必要がある。CAHの有用性を示したcase seriesは対象症例の重症度が極めて高く,今後計画されるRCTでは,サイトカイン血中濃度の測定や重症度スコアなどにより重症例のみを抽出することが重要である。