2016 年 7 巻 1 号 p. 20-25
近年,わが国における医療の高度化・複雑化が進むなかで,厚生労働省は,質が高く安全な医療を提供するために,「チーム医療」推進として,医師以外の医療職種者の裁量権拡大を目指してきた。さまざまな論議の末,施策の1つとして「特定行為に係る看護師の研修制度」が創設された。これは,診療の補助行為のなかの一定の行為を「特定行為」と定め,その研修を修了した看護師が高度な臨床実践を行うための制度で,医療機器の操作や薬剤投与関連など38行為あり, 急性血液浄化療法に関するものもあげられた。われわれは, これまでの急性血液浄化療法における各職種の役割に関する文献レビューを行い,この制度創設による急性血液浄化療法への影響について検討した。その結果,「特定行為を行う看護師」の存在は,「患者にタイムリーな処置の提供」,「医師の業務量の軽減」,「看護師のモチベーション向上」,「急性血液浄化療法の標準化」などに貢献する可能性があることが考えられた。