日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
技術・工夫
急性肝不全治療におけるオンライン血液濾過透析
井上 和明高橋 寛与芝 真
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2016 年 7 巻 1 号 p. 92-95

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抄録

人工肝補助療法の急性肝不全治療における役割は,患者の肝臓が再生するか,適切な移植ドナーが見つかるまで患者をできるだけ良好な状態に維持することにある。本邦では内科集中治療が中心となる時期が長く,臓器提供者の少ない状況下で人工肝補助療法は独自の発展を遂げた。本邦で用いられる人工肝補助療法の特徴は大量の緩衝液で血液を浄化し,体内分布容積の大きな水溶性の毒性物質を除去して,高率に患者の覚醒を得ることにある。現在最も注目されている方法はオンライン血液濾過透析法(hemodiafiltration:HDF)である。本法により前希釈法を用いて置換液を注入すれば,透析中のトラブルも少なく管理が容易で,かつ高い昏睡覚醒率を得ることができる。今後急性肝不全の血液浄化療法として標準化すべき方法であるが,その際に肝不全用の透析液の開発と,安定した体外循環を施行するためのバスキュラーアクセスと体液量管理の指針が必要と考えられる。

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© 2016, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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