日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
症例報告
S状結腸癌穿孔腹膜炎術後に対してPMX-DHPとAN69ST/PMMA-CHDFを施行した1症例
田中 智基園田 寛道橋本 賢吾宮武 秀光藤井 恵美山根 哲信辻田 靖之高橋 完谷 眞至江口 豊
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 7 巻 2 号 p. 130-133

詳細
抄録

65歳男性。S状結腸癌に伴う穿孔性腹膜炎にて緊急手術を施行。術中に血圧低下したためカテコラミン投与開始,ICU入室1時間後にPMX-DHPを開始した。一旦血圧上昇するもその後低下傾向となり,PMX-DHP開始から3時間後にAN69ST-CHDFを併用した。開始後から徐々に血圧は安定し,カテコラミンも漸減可能となった。その後回路内凝固により,カラム交換が必要となり,PMMA-CHDFに変更した。術後2日目には自尿増量(3,108mL/24h)を認め,3日目にはCHDFを離脱しその後呼吸循環は安定した。臓器障害なく術後5日目に抜管,10日目にICU退室となった。敗血症性ショックに対して早期にPMX-DHPとAN69ST/PMMA-CHDFを併用することで多臓器不全に陥ることなく抜管,ICU退室が可能であった症例を経験した。

著者関連情報
© 2016, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top