日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
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症例報告
メープルシロップ尿症急性増悪に血液浄化療法を施行した2症例
上原 舞美山香 修長井 孝二郎森田 敏夫渡邊 順子今井 徹朗中村 篤雄高須 修山下 典雄坂本 照夫
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2016 年 7 巻 2 号 p. 134-137

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抄録

メープルシロップ尿症(Maple Syrup Urine Disease:MSUD)は分枝鎖アミノ酸の先天代謝異常症であり,血中leucine(Leu)値が上昇することで重篤な神経症状を引き起す。MSUDの急性増悪に対しアミノ酸除去目的で血液浄化療法を施行したので報告する。症例1は9歳男児で搬入時GCS 2T,CT上脳浮腫著明であった。Continous hemodialysisを浄化量35mL/kg/hで17時間施行し,Leuは20から11mg/dLに低下したが意識レベルの改善を認めなかった。症例2は6歳男児で搬入時GCS 11(E4V3M4),CT上異常所見なし。Sustained low efficiency dialysisをQb 100mL/min,Qd 200mL/minで1日目8時間,2日目9時間施行。Leuは1日目15.95から3.21,2日目5.15から2.37mg/dLへ低下し,3日目に意識レベル正常となった。症例1に比べ症例2では,中枢神経症状が軽度の早期に浄化量を増加した血液浄化療法を施行したことで,速やかにLeu値が低下したことが良好な神経学的予後に寄与したと考えられた。

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© 2016, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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