2017 年 8 巻 1 号 p. 15-20
免疫性神経疾患におけるアフェレシス療法の適応としては,ランダム化比較試験によって有用性が確立されている疾患,および病因物質が特定されアフェレシス療法が理論的に妥当である疾患があげられる。日本では,重症筋無力症,Guillain-Barré症候群,慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多発性硬化症が保険適用であるが,視神経脊髄炎や自己免疫性脳炎・脳症などでも,多発性硬化症や中枢神経ループスなどに準じて施行されている。免疫性神経疾患では,単純血漿交換療法,二重濾過血漿分離交換法および免疫吸着療法が行われ,いずれの方法もほぼ同様の有効性が期待できるが,おのおのの疾患でいずれの方法を選択すべきかについてのエビデンスはない。免疫性神経疾患でアフェレシス療法を必要とする病態は,重篤で時機を逸すれば回復が困難となる場合が多く,鑑別診断を行いながら必要であれば速やかにアフェレシス療法を施行することが重要である。