2017 年 8 巻 1 号 p. 21-26
血漿交換療法(PE)が適応となる主な血管炎症候群は,ANCA関連血管炎(AAV),抗糸球体基底膜(GBM)病,IgA血管炎,クリオグロブリン血管炎である。このなかでわが国では抗GBM病による急速進行性糸球体腎炎のみが保険収載されている。AAVでは,高度腎機能障害あるいはびまん性肺胞出血に対してPEが推奨される。クレアチニン>5.66mg/dLを対象として行われたランダム化比較試験(RCT)で,12ヵ月の時点での腎生存率はPE群がmPSLパルス群に比して有意に高かったが,長期経過観察では両群間で差を認めなかった。GFR 50mL/分未満,および/または肺胞出血を伴うAAVを対象としてPEとglucocorticoid減量投与方法の有効性を検証する国際的要因RCTが現在行われている。IgA血管炎とクリオグロブリン血管炎は,ケースシリーズと症例報告により,難治性病態,重症例でのPEの有効性が報告されている。