日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
総説
尿中バイオマーカーKidney Injury Molecule 1 (KIM-1)の臨床評価と生物学的役割
辻 孝之辻 尚子安田 日出夫加藤 明彦
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2017 年 8 巻 1 号 p. 34-39

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抄録

Kidney Injury Molecule 1(KIM-1)は,通常,腎にはほとんど発現していないが,傷害を受けると近位尿細管細胞に増加し,その細胞外ドメインが切断され尿中に放出される。とくに心臓外科手術後のAcute kidney injury(AKI)の早期診断マーカーとして高い診断精度を有することが,システマティックレビューやメタ解析で証明されている。しかし,予後や重症度予測,敗血症などの複雑な病態での有用性についての検証は不十分である。一方,AKIからの腎修復にKIM-1が大きな役割を果たしていることが解明されてきており,新たなAKIの治療標的として注目されている。さらに近年では血中のKIM-1が腎のみならずそれ以外の臓器障害や生命予後を反映している可能性があり,KIM-1の由来や役割について今後の更なる検討が必要である。

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© 2017, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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