日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
総説
急性腎障害に対するバイオマーカーとしてのシスタチンCの有用性
阿部 貴弥村井 美穂子佐藤 聡哉千葉 健太小原 航
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 8 巻 1 号 p. 40-42

詳細
抄録

急性腎障害(Acute Kidney Injury:AKI)は血清クレアチニン(Cr)値の上昇(増加率)と尿量減少により診断される。しかし血清Cr値は早期の糸球体濾過量の低下の感度が低いためAKIをより特異的,より早期に診断し,かつ重症度を反映するバイオマーカーが期待されている。Cystatin C(Cys-C)は全身の有核細胞より一定量産生される分子量13.3kDaの低分子タンパク質であり,Crに比べより早期の腎機能低下より上昇し始めるため,AKIのバイオマーカーとして期待されている。これまでの報告では,Cys-CはAKIの早期診断に有用である可能性が報告されているが,重症度予測には報告が少ないのが現状である。Cys-Cの1番の有用性は生化学自動分析装置が可能であり,より実臨床での使用が可能なことがあげられる。障害される腎臓の部位や障害後の時間的経過などAKIには複合的な因子が影響している。そのためCys-Cのみならずさまざまなバイオマーカーの組み合わせが必要であり,新しいバイオマーカーの確立が急務である。

著者関連情報
© 2017, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top