日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
Nafamostat mesilate投与方法の違いによりAN69ST膜ヘモフィルターを用いた持続血液濾過のライフタイムは異なるか
栗本 恭好原 嘉孝川治 崇泰早川 聖子中村 智之幸村 英文山下 千鶴柴田 純平西田 修
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2017 年 8 巻 1 号 p. 48-53

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抄録

【はじめに】AN69ST膜ヘモフィルターを用いた持続血液濾過(AN-CHF)では,しばしば静脈チャンバーで凝血することが報告されている。nafamostat mesilate(NM)の吸着の可能性があるとの私見もあるが,証明されていない。当ICUでは,フィルター前からのみNM投与を行っていたが,フィルター前後に分配して投与する方法を導入した。【方法】AN-CHFを施行した敗血症症例を抽出し,フィルター前のみ(A法:30mg/hr)と前後に分配した(AV法:前25mg/hr,後5mg/hr)投与法について後向きに比較・検討した。1本のフィルターで22時間以上CHFを行った場合を「目標達成」と定義した。【結果】ライフタイム(A法23.5時間 vs AV法23.2時間,p=0.60),目標達成率(85.1% vs 78.9%,p=0.34)において有意差を認めなかった。目標達成に寄与する因子としてsequential organ failure assessmentスコア(オッズ比:0.997,p=0.0002),AV法(オッズ比:0.216,p=0.011)があげられた。【結語】AN-CHFにおいてフィルター前25mg/hr,後5mg/hrにNM投与を分配する抗凝固療法は,有効でない可能性が示された。

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© 2017, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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