2017 年 8 巻 1 号 p. 76-79
18歳女性。腹痛,下痢,発熱により前医へ入院していたが,病態の悪化を認め当院へ搬送された。下血,血尿,溶血性貧血,血小板減少,腸管出血性大腸菌O157感染を認め,溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)と診断し支持療法中心の治療を開始した。第4病日,急性腎傷害を呈し持続的血液浄化療法を導入。第7病日,幻視,幻聴が出現したため,ステロイドセミパルス療法および血漿交換療法を2日続けて施行した。以降幻覚の消失,速やかな全身状態の改善を認め,第12病日に持続的血液浄化療法を離脱,第25病日に腎および神経学的後遺症なく退院となった。HUSの脳症合併には志賀毒素と炎症性サイトカインが大きく関与しており,ステロイドセミパルス療法と血液浄化療法によるサイトカインの抑制,除去という機序が特異的な効果をもたらしたと考えられた。成人におけるHUSの脳症合併症例は報告が少なく予後不良であるため,今後の治療法確立のため本症例を報告する。