2017 年 8 巻 1 号 p. 92-95
敗血症によって心筋障害が誘発される敗血症性心筋症は以前から報告されており,敗血症治療により回復はするが数日を要するとされる可逆的心筋障害である。われわれは,閉塞性尿路感染症による敗血症から重篤な敗血症性心筋症をきたした症例を経験した。経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support:PCPS)導入を考慮しながらも,ポリミキシンBカラム血液吸着(polymyxin B column-direct hemoperfusion:PMX-DHP),ポリメチルメタクリレート膜持続血液濾過透析(polymethyl methacrylate membrane combined with continuous hemodiafiltration:PMMA-CHDF)により循環動態が急速に改善,PCPSを回避し,救命することができた。敗血症性心筋症が疑われる場合に,早期の心機能改善目的にPMX-DHPやPMMA-CHDFによるエンドトキシン・サイトカイン除去が有用である可能性が考えられた。