抄録
認知症の分子イメージングは老人斑を形成するアミロイドβペプチド PET によるイメージングが[11C]PIB により可能になったことで,アルツハイマー病の診断基準にも取り入れられようとしている。遺伝子改変動物の PET 研究から[11C]PIB は Aβの N 末端側のアミノ酸残基 2 個が欠落し 3 番目のグルタミン酸残基が環状化した AβN3(pE)に結合することが明らかとなり,環状化に関わる過程の研究から病的アミロイドの形成メカニズムの研究も進んでいる。一方アルツハイマー病の進展には神経炎症が関わっており,それを担う活性型ミクログリアのイメージングを通じて,アミロイド除去や神経細胞死と脳内免疫との関係も明らかになりつつある。