抄録
数種類の初期化遺伝子を体細胞に導入することにより,胚性幹細胞(embryonic stem cells : ES細胞)に匹敵する多分化能を有する人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells : iPS 細胞)が誕生した。神経変性疾患研究においては,これまで生体から入手が困難であった疾患の標的細胞を iPS細胞から作製することが可能になり,病態解明,創薬開発が進展すると期待されている。本稿では疾患特異的 iPS 細胞を用いた神経変性疾患研究と今後の展望について述べる。