抄録
統合失調症や自閉症といった脳の発達に起因する精神疾患は,遺伝的および環境的要因によって引き起こされるが,シナプスの形成・機能やその結果としての神経回路の変調をきたすと考えられる。実際,昨今の遺伝学的解析により,これら精神疾患に関わる遺伝子,さらにはそれら分子の異常パスウェイが明らかになってきた。シナプスの形成・機能およびその神経回路の異常を理解することが,これら精神疾患の病態を理解する上で重要である。ヒトの異常をマウスで構築することが可能になった今,これらのマウスモデルを用いた解析により,精神疾患の病態の本質にせまる知見が得られることが期待される。