日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
サリン事件被害者の精神症状
岩波 明
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2016 年 27 巻 2 号 p. 71-74

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抄録

オウム教団によるサリン事件(松本サリン事件,地下鉄サリン事件)の被害者における精神症状,身体症状について,我々の研究を中心としてこれまでの報告を検討した。その結果,サリン事件の被害者においては,事件から長期間経過した時点においても,PTSD 症状を中心とした精神症状,不定愁訴様の身体症状,眼症状が高頻度に認められた。このような後遺症状は,サリンガスによる慢性毒性と関連する可能性が推測された。松本サリン事件,地下鉄サリン事件からすでに 20 年以上の歳月が経過しているが,今後も,定期的に被害者における精神的あるいは身体的な後遺症をフォローアップするとともに,そのケアや治療システムを確立する必要性が大きいと考えられた。

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© 2016 日本生物学的精神医学会
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