日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
27 巻, 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 福田 正人
    2016 年 27 巻 2 号 p. 59
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 斉藤 まなぶ, 吉田 恵心, 坂本 由唯, 大里 絢子, 足立 匡基, 安田 小響, 栗林 理人, 中村 和彦
    2016 年 27 巻 2 号 p. 60-64
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,ASD の有病率は 10 年で 120%も増加している。さらに,CDC は 2015 年には NHIS による調査で,2014 年の 3 ~ 17 歳の ASD の有病率は 2.24%(45 人に 1 人)であり,2011 ~ 2013 年の有病率 1.25%より有意に増加したと報告している。発達障害の疫学調査は,対象年齢,調査手法,診断基準などが統一されておらず,単純な比較で ASD の有病率の変化を論じることはできない。また,生物学的な研究からは endophenotype(中間表現型)が存在する可能性も示唆されている。海外においては,ASD の早期診断に関して,コミュニティにおける行動的な評価およびバイオマーカーを用いた生物学的な評価をバランスよく取り入れた手法が構築されつつある。わが国においても科学的な早期診断手法を取りいれた健診の実施が望まれる。ASD の生物学的特性を正確に,できるだけ非侵襲的に評価することが今後も課題である。
  • 徳山 尚吾, 西中 崇
    2016 年 27 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
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    痛みの慢性化につながる精神的・心理的および社会的な要因の 1 つに幼少期の養育環境が挙げられる。本稿では,成熟期における神経障害性疼痛に対する幼少期ストレス負荷の影響に関連する因子の探索ならびに脳内神経機能が関連する変化について我々の成績を中心に概説する。マウスの幼少期に母子分離・社会隔離ストレス(MSSI)を負荷すると,成熟期において情動機能障害が認められた。 MSSI 負荷後の坐骨神経部分結紮による神経障害性モデル動物では,機械的・熱的刺激に対する反応性のさらなる増加がみられた。また,これら神経障害性疼痛後の情動障害において,情動機能因子である BDNF の発現変動が関与していることも示された。さらに,MSSI 負荷は,広範な脳領域において,神経の活性化マーカーである p-ERK 陽性細胞数を増加させた。これらの変化は神経障害性疼痛による痛覚過敏の増強に関与していることが伺える。以上,幼少期に受ける過度のストレスによって痛みが増悪・慢性化する機構が形成されることが明らかになった。
  • 岩波 明
    2016 年 27 巻 2 号 p. 71-74
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
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    オウム教団によるサリン事件(松本サリン事件,地下鉄サリン事件)の被害者における精神症状,身体症状について,我々の研究を中心としてこれまでの報告を検討した。その結果,サリン事件の被害者においては,事件から長期間経過した時点においても,PTSD 症状を中心とした精神症状,不定愁訴様の身体症状,眼症状が高頻度に認められた。このような後遺症状は,サリンガスによる慢性毒性と関連する可能性が推測された。松本サリン事件,地下鉄サリン事件からすでに 20 年以上の歳月が経過しているが,今後も,定期的に被害者における精神的あるいは身体的な後遺症をフォローアップするとともに,そのケアや治療システムを確立する必要性が大きいと考えられた。
  • 安野 史彦, 岸本 年史
    2016 年 27 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
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    1995 年 3 月 20 日,東京都内の地下鉄車内におかれたプラスチックバッグから放出されたサリンにより約 5,500 人が被害を受け,うち 12 人が亡くなられている(東京地下鉄サリン事件)。サリンは有機リン酸化合物の一種であり,強力なアセチルコリン(Ach)エステラーゼ阻害剤である。コリン受容体の障害を介して,自律神経系の神経伝達を阻害する。サリン事件の被害者においても,慢性的な脳障害と,それに伴う持続的な脳機能の変化の可能性が示唆される。本稿において,サリン事件被害者における,慢性(長期)の神経,精神および行動影響についてのこれまでの報告を概観し,Ach 作動神経系への急激かつ過剰な負荷が,慢性的なダメージの一因となりえる可能性について考察する。また,認知神経症状および MRI による神経機能・解剖学的な検討に加えて,神経分子画像による生体内分子レベルでの長期的な検討の有用性についても考察を行う。
  • 菊地 裕絵
    2016 年 27 巻 2 号 p. 80-83
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
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    サリンはアセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有する毒性物質である。コリンエステラーゼ活性は 3 ヵ月で回復するとされるものの,慢性的に持続するもしくは新たに生じる所見や症状も報告されている。サリンによる長期的な影響は,1994 年の松本サリン事件および 1995 年の東京地下鉄サリン事件の被害者の複数年にわたるフォローアップを通して調査が行われており,身体症状では全身倦怠感やめまいといった症状のほか,眼が疲れやすい,見えにくいといった眼症状が比較的高率に認められている。また慢性期の検査所見としては,重心動揺検査や眼科検査での異常が報告されている。サリンによる慢性期の身体症状のなかには,何らかの身体的異常所見を伴い,神経学的後遺症としてとらえられうるものがあると推察され,引き続き,病態生理や機序の解明が求められる。一方で外傷体験に伴う心理的要因の関与は身体的要因と排他的なものではないこと踏まえても,被害者の慢性期の身体症状について心身両面からの視点を持つことは重要である。
  • 栃木 衛
    2016 年 27 巻 2 号 p. 84-87
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
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    湾岸戦争病は,湾岸戦争終了後の多国籍軍側の帰還兵士にみられた関節痛,疲労,筋肉痛,頭痛,忘れやすさ,集中困難,気分の落ち込み,不眠,発疹などの種々の症状に対して,欧米を中心とするマスコミが呼称しはじめたものである。化学兵器への曝露やその予防薬,感染症や多種ワクチンの同時接種,砂漠に特有の諸環境,劣化ウランへの被曝,炎上した油井からの煙の吸入,精神的ストレスなどが原因として検討されてきたが,原因は未だ不明であり,湾岸戦争に由来する特異な病態ないし,新規の疾患の存在自体を疑問視する向きもあるのが現状である。一方,帰還兵に対して行われている追跡調査からは,低用量の神経剤曝露の長期的な影響が改めて問題とされている。本稿では,化学兵器曝露,中でもサリンへの低用量曝露と,精神的ストレス,とりわけ心的外傷後ストレス障害(PTSD)の影響という 2 つの観点から湾岸戦争病とサリン後遺症の共通点について考察した。
  • 大久保 善朗
    2016 年 27 巻 2 号 p. 88-91
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
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    地下鉄サリン事件(1995)の直後から,弁護士,報道関係者,ボランティアなどによって被害者の支援活動が開始された。その活動の一つが被害者の健康被害に関する追跡調査であった。2001 年,それまで検診を実施してきた有志によって,被害者とその家族をケアする特定非営利活動法人(NPO)R・S・C が設立された。以後,被害者の検診は,R・S・C に引き継がれ現在まで行われている。その調査結果によると,被害者には事件後 20 年を経過しても身体,心理,眼症状が認められる。事故から 10年が経過した 2004 年,我々は,R・S・C の依頼を受け,被害者の健康調査を実施した。その時に多く認められた症状としては,めまい・頭痛・睡眠障害などがあり,感情や思考等の認知機能の問題も少なからず認められることを確かめた。被害者に認められる多くの症状は,通常の検査では異常を認めないことから,不定愁訴として扱われ放置されている可能性がある。サリン事件による健康被害として,急性期の中毒症状,それに続く PTSD による障害は認知されているが,それ以外の慢性の健康被害については未だ明らかでないことが多い。今後さらなる追跡調査が望まれる。
  • 岩田 仲生
    2016 年 27 巻 2 号 p. 93
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
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  • 平野 羊嗣
    2016 年 27 巻 2 号 p. 94
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 紀本 創兵
    2016 年 27 巻 2 号 p. 95
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 岩田 正明
    2016 年 27 巻 2 号 p. 96
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
    ジャーナル オープンアクセス
  • 藤本 美智子, 橋本 亮太, 三浦 健一郎, 山森 英長, 安田 由華, 大井 一高, 岩瀬 真生, 武田 雅俊
    2016 年 27 巻 2 号 p. 97
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
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  • 多田 真理子
    2016 年 27 巻 2 号 p. 98
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/02/08
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