日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
ゲノム解析を基盤とした自閉スペクトラム症・統合失調症のiPS細胞研究
有岡 祐子久島 周森 大輔尾崎 紀夫
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 29 巻 3 号 p. 114-118

詳細
抄録
自閉スペクトラム症(ASD)・統合失調症(SCZ)を対象としたゲノム解析によって,両疾患の発症に強く関与すると考えられるゲノム変異が多数同定されてきた。これらゲノム研究の知見に基づき,ゲノム変異モデル動物も次々と開発・解析されてきている。しかし,モデル動物では患者病態を模倣することに限界もあり,ASD・SCZの病態は未だ明らかにされていない。近年,ヒト(患者)由来の脳を解析できる新たなツールとして注目されているのがiPS細胞である。2010年のレット症候群患者由来iPS細胞を用いた報告を皮切りに,22q11.2欠失などASD・SCZ発症に強く関与するゲノム変異保有患者iPS細胞を用いた研究が急速に広まっている。本稿では,ゲノム解析技術とその知見を基盤として発展するiPS細胞のASD・SCZ研究について,これまでの報告を紹介しつつ,今後の展望について述べる。
著者関連情報
© 2018 日本生物学的精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top