日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
自閉スペクトラム症に対するオキシトシン治療効果の医師主導Randomized Controlled Trial ─マルチモダリティ脳画像解析の応用─
山末 英典
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 29 巻 3 号 p. 109-113

詳細
抄録
社会的コミュニケーションの障害などの自閉スペクトラム症中核症状に対する治療方法は確立されていない。本稿では,オキシトシン経鼻投与の効果を臨床評価に加えてマルチモダリティ脳画像解析による脳機能の変化として評価した医師主導の臨床試験による,この中核症状治療薬の開発過程を概観した。治療開始前のオキシトシン関連遺伝子の情報による治療効果予測の可能性を示す研究成果も含めた。こうした研究成果が活用され,可及的速やかに当事者のための新規治療薬の臨床応用が実現することが望まれる一方で,臨床的に意義の高い効果についての確認,最適な用量や用法の検討,殊に幼少児期における長期投与の安全性など,オキシトシンを自閉スペクトラム症中核症状の治療薬として実用するためには,まだ検討するべき点が多く残されている。そのため,こうした検討事項を踏まえてデザインした医師主導治験を含めた研究計画について,現在進行形で実施している。
著者関連情報
© 2018 日本生物学的精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top