日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
軸索ガイダンス分子Robo1の大脳皮質形成における役割
権田 裕子花嶋 かりな
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 31 巻 2 号 p. 98-105

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抄録

大脳皮質は脳の高次機能において中心的な役割を果たし,その層構造や神経回路形成不全はさまざまな発達障害・精神疾患を引き起こす。近年の研究により,軸索ガイダンス分子として知られるRobo1が大脳皮質の神経回路形成においても重要な機能を担うことが示唆されてきた。私たちは,発生期大脳皮質の第2/3層錐体細胞においてRobo1発現を抑制すると,神経細胞移動障害ならびに配置異常と形態異常を引き起こし,Robo1が大脳皮質錐体細胞の最終配置決定と層形成,尖端樹状突起の形態形成に重要な分子であることを明らかにした。本稿ではRobo1研究について最新の知見を紹介しながら,Robo1を介した大脳皮質神経回路形成機構について考察したい。

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© 2020 日本生物学的精神医学会
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