抄録
うつ病は再燃・再発しやすい疾患であり,急性期治療に引き続く治療戦略が肝要となる。特に治療抵抗性うつ病では,再燃・再発を防ぐための連続・維持療法(以下,維持療法)の確立が喫緊の課題といえる。反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は,非侵襲的に脳皮質を刺激し興奮性を修飾する技術であり,複数の臨床試験やメタ解析から治療抵抗性うつ病への有効性が実証されている。rTMS療法の長期効果に関するメタ解析では,急性期rTMS療法後の再燃・再発を防ぐための治療選択肢として,維持rTMS療法が有用であることが示されている。筆者のグループは,治療抵抗性うつ病患者に対して6週間の急性期rTMS療法を行い,寛解に至った2名に対して,12カ月間の維持rTMS療法を導入し,その有用性を報告した。最後に,現在準備を進めている維持rTMS療法の標準化および保険収載を目的とした多施設,前向き,非無作為化縦断研究の概要を紹介する。