日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
脳画像による機械学習解析を臨床現場に応用するために必要なこと
小池 進介
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 34 巻 1 号 p. 19-23

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抄録
脳磁気共鳴画像(MRI)研究成果によって,鑑別診断や予後予測などを行えないか,という期待があった。しかし,疾患群と健常対照群のオーバーラップが大きく,バイオマーカー開発には至っていない。近年,多変量を用いる機械学習や深層学習の手法が身近になったが,多施設の大規模データを適切に結合するハーモナイズ技術が必要となってくる。筆者らは,こうした多プロトコル脳画像データの欠点を打破すべく検討を重ねており,臨床現場において有用で,病態解明も期待できる機械学習器の作成をめざしている。今後の精神・神経疾患の大規模MRI脳画像研究に向けて,高分解能MRIデータを多施設で取得する新規プロトコルの策定,トラベリングサブジェクト法によるデータハーモナイズが進行中である。こうした国内外の共同研究プロジェクトにより,精神疾患の脳画像研究が飛躍的に進展し,国際連携と標準化の促進が期待される。
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© 2023 日本生物学的精神医学会
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