日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
34 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 竹林 実
    2023 年34 巻1 号 p. 1-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
  • 柳田 悠太朗, 仲地 ゆたか, 文東 美紀, 岩本 和也
    2023 年34 巻1 号 p. 2-6
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    DNAメチル化やヒストンタンパク質の修飾など,エピジェネティックな状態には遺伝環境相互作用が反映されており,精神疾患の病因・病態の理解のためにきわめて重要であると考えられている。セロトニントランスポーターは繰り返し配列の多型領域とDNAメチル化による転写制御を受けることから,遺伝環境相互作用研究のためのよいモデルであると考えられる。本稿では,高齢者コホート検体を利用し,正常加齢に伴う認知機能の低下や抑うつ傾向について検討した筆者らのセロトニントランスポーターでの研究例を紹介する。研究の背景と共に,臨床所見とMRI画像による脳体積およびジェノタイピングデータやDNAメチル化状態を統合することで明らかになりつつある結果を紹介し,現状の課題と今後の展望を述べる。
  • 加藤 隆弘, 松島 敏夫, 瀬戸山 大樹
    2023 年34 巻1 号 p. 7-12
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    うつ病など精神疾患をもつ患者が発症初期から精神医療機関を受診することはまれであり,適切な精神医療の導入は遅れがちである。他方,こうした患者は身体症状のために身体科を受診していることがまれではない。しかるに,筆者らは精神科以外でも実施可能な採血による血液バイオマーカーの開発が,精神疾患の早期発見・早期介入につながることを期待して,血液を用いた精神疾患の客観的バイオマーカー開発を進めている。本稿では,血液メタボローム解析について概説し,うつ病やひきこもりに関連した研究の成果を紹介する。筆者らはこれまで抑うつ重症度と3ヒドロキシ酪酸,自殺とキヌレニン経路代謝物,ひきこもりとアシルカルニチン/アルギニンとの関連を萌芽的に見いだしてきた。こうした研究の発展により精神疾患を採血で客観的に生物学的に評価できるシステムが構築されることで,精神疾患の早期発見・早期介入の実現に加えて精神疾患への偏見解消が期待される。
  • 高橋 努
    2023 年34 巻1 号 p. 13-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    早期精神症(early psychosis)とは精神疾患に対する早期介入活動と関連して発展した概念であり,一般的には統合失調症をはじめとする精神症の初回エピソードおよび精神症の臨床的発症高危険群(at‐risk mental state:ARMS)が含まれる。早期精神症を対象とした磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:MRI)研究の結果から,灰白質体積などの脳形態特徴が病初期の統合失調症患者と健常者の判別やARMS症例の将来の精神症発症予測に寄与する可能性が示唆されている。これらの研究知見の臨床応用のためには,多施設共同研究による早期精神症を対象とした脳画像研究のさらなる進展および脳画像所見と他の生物学的指標(事象関連電位や血液マーカーなど)の組み合わせなどが有効と考えられるが,その実現に向けた課題も多い。
  • 小池 進介
    2023 年34 巻1 号 p. 19-23
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    脳磁気共鳴画像(MRI)研究成果によって,鑑別診断や予後予測などを行えないか,という期待があった。しかし,疾患群と健常対照群のオーバーラップが大きく,バイオマーカー開発には至っていない。近年,多変量を用いる機械学習や深層学習の手法が身近になったが,多施設の大規模データを適切に結合するハーモナイズ技術が必要となってくる。筆者らは,こうした多プロトコル脳画像データの欠点を打破すべく検討を重ねており,臨床現場において有用で,病態解明も期待できる機械学習器の作成をめざしている。今後の精神・神経疾患の大規模MRI脳画像研究に向けて,高分解能MRIデータを多施設で取得する新規プロトコルの策定,トラベリングサブジェクト法によるデータハーモナイズが進行中である。こうした国内外の共同研究プロジェクトにより,精神疾患の脳画像研究が飛躍的に進展し,国際連携と標準化の促進が期待される。
  • 山下 歩
    2023 年34 巻1 号 p. 24-29
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    深層学習や機械学習などの情報技術の発展が目覚ましく,精神疾患にかかわる脳画像研究においてもその有効性が示されつつある。例えば,安静時に撮像した機能的核磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging:安静時fMRI)データに教師有学習を適用した生物学的基盤に基づいた精神疾患の判別や,教師無学習を適用した精神疾患のサブタイピングなどが行われている。しかしながら,安静時脳活動と行動指標の関係に関する効果量が小さい,脳画像データの施設間差,DSM診断に基づく技術開発などの問題があった。本稿では,これらの問題点および脳画像研究により精神疾患はどこまでわかってきているのか,そして今何をやるべきなのかについて,筆者らが取り組んできた大規模多施設多疾患データセットの構築,脳画像データにおける施設間差を調和するharmonization技術の開発,脳回路に基づく精神疾患のサブタイプ調査に関する取り組みを紹介し,精神疾患における脳画像研究の現状と課題,解決策について概説する。
  • 三笘 良, 平野 羊嗣
    2023 年34 巻1 号 p. 30-37
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
    統合失調症をはじめとした精神疾患では病態解明や介入手段の確立をめざして,各領域でさまざまなアプローチが試みられてきた。神経生理学研究においても数多くの指標に着目した報告があるが,なかでも神経振動は特に有望なバイオマーカーの候補と目されている。神経振動は脳内における興奮性と抑制性の伝達物質のバランスを基盤として,脳内情報伝達を担うリズミカルな皮質電気活動であり,統合失調症においても聴覚定常反応課題をはじめとして一貫性のある異常所見が得られている。また,ベースラインの自発振動と課題刺激で賦活された振動との間で十分な切り替えがなされないことも,計算論的神経科学の観点から説明が可能な統合失調症の特徴として指摘されている。神経振動は基礎と臨床を繋ぐトランスレーショナル・リサーチを可能にするだけでなく,今後は大規模データ解析によってもますます発展が見込まれている。
  • 小原 知之, 二宮 利治
    2023 年34 巻1 号 p. 38-40
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル オープンアクセス
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