抄録
「共生」は認知症基本法で重要なキーワードである。本稿ではまず「共生」には認知症の人(他者)と共に生きることと,後半生の岐路として自らが認知症と共に生きることの2 つがあり,認知症や軽度認知障害の罹病率推計から,後者を念頭に人生設計や地域づくりを考えるべきであると論じた。そのうえで重要なパラダイムと考えられる認知リハビリテーションの定義について述べ,その考えに立脚した心理社会的支援モデルを提案した。モデルは,①本人への支援,②家族への支援,③対人援助職への支援,④住まいと地域づくりからなり,最終的な支援目的は本人・家族・支える対人援助職全体の生活の質の向上を促すことである。この枠組みで認知症に関するシームレスな支援を行っていく場合,我が国の制度では不十分な点が少なくない。それについて,本人への支援のうち,「認知機能の活性化・維持の支援」の点から論じた。