2018 年 59 巻 2 号 p. 159-166
司法面接は,虐待・犯罪の被害者または目撃者となった可能性のある未成年者を対象として行われる面接の方法である。事実,すなわち何が起きたかを,心理的負担に配慮しつつできるだけ正確に聴取することを目指す。本稿では司法面接の背景と現状,司法面接の方法,司法面接の効果,ならびに今後の課題について概説した。第一に,欧米で司法面接法が開発されるに至った経緯や日本での開発・使用の状況について述べた。第二に,司法面接の方法を概観した。特に(1)事実の調査であること,(2)正確な情報を得るためにオープン質問を用いること,(3)自由報告(自発的な報告)を得るために面接が構造化されていること(面接での約束事,話しやすい関係性の形成,出来事を思い出す練習を行った後に本題に入り,最後は終結の過程を設ける),(4)子どもの精神的二次被害を低減するため,面接の繰返しを避ける工夫がなされていること(司法面接は多専門で行い,録音録画する)を取り上げ説明した。第三に,司法面接により得られる実証的な効果について述べた。すなわち(1)正確な情報がより多く引き出せること,(2)オープン質問を主とする面接で得られた供述は,クローズド質問により得られた供述に比べ,信用性がより高く評価され得ることを示した。最後に,児童相談所,警察,検察庁の連携の現状につき紹介し,今後は福祉と司法のみならず,医療や心理臨床の連携も必要であることを強調した。