児童青年精神医学とその近接領域
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特集 児童・青年期における司法精神医学
児童・青年期における司法精神医学
─家庭裁判所調査官の立場から─
藤川 洋子
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2018 年 59 巻 2 号 p. 167-176

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抄録

児童・青年期の刑事事件を担当するのは,家庭裁判所である。わが国は,14歳以上を刑事責任年齢とし,20歳未満による刑事事件については,少年法がまず適用される。少年法においては,司法精神医学では本質的な「責任能力」が,必ずしも問題にならない。

家庭裁判所には,心理学,教育学,社会学,社会福祉学,法律学という人間関係諸科学の専門家として家庭裁判所調査官が置かれている。罪を犯した少年,保護者らに面接を行い,その少年にとってどういう処遇が適切か,裁判官に意見を提出する。

筆者は,元家庭裁判所調査官の立場から,わが国の少年非行の現状を説明し,近年,精神医学の視点の重要性が強まっていることを述べる。また,調査官業務のなかでのジェノグラムの効果的な使い方や,司法面接の重要性を紹介したい。

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© 2018 一般社団法人 日本児童青年精神医学会
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