日本救命医療学会雑誌
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症例報告
非気管挿管下に実施した内視鏡下副鼻腔手術中に陰圧性肺水腫を発症した一例
高田 健司大野 雄康高山 和之山田 勇小谷 穣治
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2024 年 38 巻 p. 1-12

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抄録

 陰圧性肺水腫 (negative pressure pulmonary edema, 以下NPPEと略す) は, 上気道閉塞や過度の吸気努力により, 肺毛細血管の透過性亢進が起こり発症する肺水腫である. 周術期におけるNPPEの既報は, 気管チューブ抜去に関連したものがほとんどであり, 非気管挿管下の手術中にNPPEを発症した報告は非常にまれである.
 生来健康な40歳代女性が, 鎮静・非気管挿管下に内視鏡下副鼻腔手術を受けた. 術中, 鼻出血の誤嚥を契機に経皮的酸素飽和度が70%まで低下し, 高流量酸素投与でも十分な酸素化が得られなくなり, 気管挿管のうえ人工呼吸管理を開始した. 胸部X線画像で肺門部を中心に蝶形状陰影を認め, 胸部CT画像で両側対称性, 上中肺野, 背側優位にすりガラス陰影を認めた. 陽圧換気により画像所見, 酸素化ともに改善し, 第3病日に人工呼吸を離脱し, 第7病日に独歩退院した.
 鎮静・非気管挿管下の手術であっても, 誤嚥を契機にNPPEのような重篤な呼吸器合併症が起こりうる. そのため, 術中の呼吸状態急変時にはNPPEを鑑別診断のひとつに想起することが重要である.

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