日本救命医療学会雑誌
Online ISSN : 2758-1055
Print ISSN : 1882-0581
最新号
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巻頭言
症例報告
  • 高田 健司, 大野 雄康, 高山 和之, 山田 勇, 小谷 穣治
    2024 年 38 巻 p. 1-12
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル フリー
     陰圧性肺水腫 (negative pressure pulmonary edema, 以下NPPEと略す) は, 上気道閉塞や過度の吸気努力により, 肺毛細血管の透過性亢進が起こり発症する肺水腫である. 周術期におけるNPPEの既報は, 気管チューブ抜去に関連したものがほとんどであり, 非気管挿管下の手術中にNPPEを発症した報告は非常にまれである.
     生来健康な40歳代女性が, 鎮静・非気管挿管下に内視鏡下副鼻腔手術を受けた. 術中, 鼻出血の誤嚥を契機に経皮的酸素飽和度が70%まで低下し, 高流量酸素投与でも十分な酸素化が得られなくなり, 気管挿管のうえ人工呼吸管理を開始した. 胸部X線画像で肺門部を中心に蝶形状陰影を認め, 胸部CT画像で両側対称性, 上中肺野, 背側優位にすりガラス陰影を認めた. 陽圧換気により画像所見, 酸素化ともに改善し, 第3病日に人工呼吸を離脱し, 第7病日に独歩退院した.
     鎮静・非気管挿管下の手術であっても, 誤嚥を契機にNPPEのような重篤な呼吸器合併症が起こりうる. そのため, 術中の呼吸状態急変時にはNPPEを鑑別診断のひとつに想起することが重要である.
症例報告
  • -カフェイン血中濃度と乳酸値の比較-
    加藤 ちはる, 松本 尚也, 高岡 諒
    2024 年 38 巻 p. 13-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル フリー
     [はじめに]カフェイン中毒症例において, 乳酸値がカフェイン血中濃度の指標となる可能性について報告されている. [症例]10歳代女性. 無水カフェイン6.2gを服用し近医に搬送, 加療目的に当院に紹介となった. 来院時, 振戦, 不随意運動を認め, 乳酸値は8.0mmol/Lであった. 来院6時間後, ミダゾラム静注後にデクスメデトミジン持続静注を開始したところ症状は消失した. カフェイン血中濃度が高値と判断し, 来院8時間後 (当日) と17時間後 (翌日) に血液透析を5時間ずつ行い, 来院後63時間で合併症なく退院した. 透析開始前の乳酸値は3.4 mmol/Lであったが, 後日測定したカフェイン血中濃度は, 来院時98μg/mL, HD開始時78μg/mLであった. 初回の透析にて14μg/mlまで低下, 2回目の透析にて12μg/mLから0μg/mLまで低下していた. また, パラキサンチン血中濃度もHDにて低下していたが, 2回目のHDまでの間に再上昇していた. [結語]乳酸値とカフェイン血中濃度は異なる推移であった.
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