日本救命医療学会雑誌
Online ISSN : 2758-1055
Print ISSN : 1882-0581
症例報告
血液透析を行ったカフェイン中毒の一例
-カフェイン血中濃度と乳酸値の比較-
加藤 ちはる松本 尚也高岡 諒
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2024 年 38 巻 p. 13-18

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抄録
 [はじめに]カフェイン中毒症例において, 乳酸値がカフェイン血中濃度の指標となる可能性について報告されている. [症例]10歳代女性. 無水カフェイン6.2gを服用し近医に搬送, 加療目的に当院に紹介となった. 来院時, 振戦, 不随意運動を認め, 乳酸値は8.0mmol/Lであった. 来院6時間後, ミダゾラム静注後にデクスメデトミジン持続静注を開始したところ症状は消失した. カフェイン血中濃度が高値と判断し, 来院8時間後 (当日) と17時間後 (翌日) に血液透析を5時間ずつ行い, 来院後63時間で合併症なく退院した. 透析開始前の乳酸値は3.4 mmol/Lであったが, 後日測定したカフェイン血中濃度は, 来院時98μg/mL, HD開始時78μg/mLであった. 初回の透析にて14μg/mlまで低下, 2回目の透析にて12μg/mLから0μg/mLまで低下していた. また, パラキサンチン血中濃度もHDにて低下していたが, 2回目のHDまでの間に再上昇していた. [結語]乳酸値とカフェイン血中濃度は異なる推移であった.
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