抄録
頭部外傷患者の転帰は依然不良である. 頭部外傷は若年者の死亡原因の主因であるとされており, その損失は医療のみならず社会的かつ経済的問題とも捉えられる. 頭部外傷の形態は大きく, びまん性脳損傷と局所性脳損傷に分けられる. それぞれに適切な治療を選択するよう, 治療の標準化が進んでいる. また, 頭部外傷の病態は大きく一次性脳損傷と二次性脳損傷に分けられる. 二次的脳損傷は, 頭部外傷受傷後に全身性因子や頭蓋内因子の増悪により付加的に生じる脳損傷である. 受傷のインパクトにより重症度が決まってしまう一次的脳損傷とは異なり神経集中治療にて予防や軽減しうるものである. それぞれの病態に対して適切なモニタリングを用い, 治療のタイミングを逃さないことが肝要である. また近年では, スポーツ人口の増加などによる脳振盪への社会的関心も高く, 臨床家には適切な対応が求められている. 本稿は頭部外傷の基本的病型とそれに対する治療, 頭蓋内圧管理を中心とした周術期管理の要点についてエビデンスを基に概説する.