日本救命医療学会雑誌
Online ISSN : 2758-1055
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総説
急性肝不全の代謝異常と栄養管理
―生体肝移植に伴う社会的・倫理的課題を含めて―
小谷 穣治
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2026 年 40 巻 p. 43-52

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抄録
 急性肝不全は, 急速に肝機能障害が進行し, 高度の凝固異常や肝性脳症を呈する致死率の高い病態である. 肝臓は糖質, 脂質, 蛋白質代謝の中心臓器であり, 急性肝不全ではこれらの代謝経路が同時に障害される. 特に, 高アミノ酸血症, 高アンモニア血症, 糖利用障害, 乳酸代謝障害, 脂肪酸β酸化障害, ケトン体産生低下などが生じ, 栄養療法においては単に必要エネルギー量を満たすのではなく, 障害された代謝経路に過剰な負荷をかけない個別化管理が求められる. 一方, 急性肝不全では肝再生が期待できない場合に肝移植が唯一の根治療法となるが, 本邦では生体肝移植が重要な選択肢となる. 生体肝移植では, 健康な家族に侵襲を伴うドナー手術を求めるため, 医学的適応のみならず, 家族関係や心理的・社会的背景への配慮が不可欠である. 本稿では, 急性肝不全の代謝異常と栄養管理について概説するとともに, 臓器提供意思が愛情の尺度となった症例, および臓器提供が経済的価値と結びついた症例を提示し, 生体肝移植に伴う社会的・倫理的課題について考察する. 急性肝不全診療では, 肝再生を支える集中治療と代謝動態に応じた栄養管理に加え, 患者と家族全体を支える包括的な医療体制の構築が重要である.
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