2020 年 1 巻 J1 号 p. 459-464
深層ニューラルネットワークを用いたダム操作モデルにおいて,予測流入量誤差が及ぼす影響について検討した.検討に用いたダム操作モデルは,時々刻々と変化する状況(現時刻までのダムの実績水位,実績流入量,6時間先までの予測流入量)に応じて,洪水調節のためのダム放流量を決定するモデルである.対象は筑後川水系の松原ダムとした.モデルの学習は,実績降雨の引き延ばしなどによる仮想出水データを用い,強化学習(Deep Q Network)を適用した.モデルの検証のため,仮想出水の流入量に人為的な誤差を加え,実運用時の予測誤差を模擬したデータを作成した.計画規模を上回る 仮想3出水での検証において,予測流入量の誤差に対しても大きな影響を受けることなく,モデルは妥当な操作判断を示した.