2021 年 2 巻 J2 号 p. 140-151
近年に大きな発展を遂げたデータ科学の方法論は,従来の科学的方法論が直面していた課題に対して柔軟な表現性能と高速な計算手段を提供する一方で,計算の解釈性やデータ数に対する外挿的予測への需要といった,これまでに無かった課題も同時に顕在化させている.従来の物理的方法論とデータ科学的方法論を統合した手法は,両方法論を相補的に利用する新たな数理分析手法であり,様々な科学分野で研究が進んでいる.本稿では,科学論的観点からこのような統合手法の意義や重要性を指摘すると共に,具体的手法や応用事例について調査と体系化を行い,当該の研究領域における現在の知見を整理する.