2021 年 2 巻 J2 号 p. 128-139
従来,ダム流入量予測モデルは確定性のある観測データに基づきパラメータ等が最適化され実運用投入されてきた.一方,実運用時のモデルへの入力は不確定性のある予測雨量とするのが一般的である.観測データと予測データは特性が異なり,従来プロセスでは予測雨量が精度向上するまでダム流入量予測の精度向上を期待できない.そこで,モデル構築時と運用時のデータ特性差を小さくするため不確定性のある予測データを含めてモデル学習・構築する.この行為を本稿では「予測学習」と呼ぶ.運用時と同じ不確定性のあるデータ条件下の「予測学習」が運用時のダム流入量予測の高精度化に寄与することを示す.また,予測データに土木的解釈を加えてAIモデルを簡素化できること,「予測学習」では1~6時間先のダム流入量予測精度が劣化しないこと,を示す.