2021 年 2 巻 J2 号 p. 182-193
本研究では,豪雨に起因する東北地方の高速道路の切土法面崩壊を対象として,降雨データの分析を実施した.その結果,深層学習に用いる降雨データは気象庁解析雨量が適していること,および誘因(降雨データ)のみから切土法面の崩壊可能性を判定することは困難であること等が明らかとなった.さらに,雨量分析に基づく誘因と素因を組み合わせて新たにデータセット化した深層学習モデルを構築し,切土の崩壊可能性の判定を試みた.その結果,正解率92~96%,敏感率65~74%を有する深層学習モデルが構築された.ただし,構築したモデルは,時間最大雨量や素因においてリスクが高いケースをやや崩壊側に偏って判定する傾向を示し,更なる学習データ蓄積の必要性も明らかとなった.