2021 年 2 巻 J2 号 p. 20-28
画像データを用いた構造物の維持管理の高度化の技術が近年急速に発展しており,様々な手法が提案されている.それらの手法を実構造物に効果的に適用するためには,対象とするシナリオを模した実験的環境において手法を実際に適用し,ユーザーの経験を蓄積するとともに得られる効果を定量評価・最大化することが重要である.一方,画像データを用いた点検・モニタリング手法は対象とする構造物や環境,期待されるアウトプットによって内容や要求が大きく異なり,それら個々の適用シナリオに即した解析と評価をおこなうのは困難である.本論文では,この問題への解決策として,コンピュータグラフィックスを活用した構造物のシミュレーションに着目し,点検・モニタリングへの適用手法と事例について述べたのち,今後の展望について議論する.