2021 年 2 巻 J2 号 p. 8-19
様々な分野でAIの導入が検討されており,特にビッグデータから学習したAIの実務への活用が期待されている. しかし,AIに限らず,知識の活用において,インターネット上のばらばらな情報を利用者の状況に応じて適用することで様々な問題が生じていると考えられており,この問題に対して,知の構造化の必要性が言われている.インフラメンテナンスにおけるAI活用においても,データから学習したAIを実務に利用することは容易ではないこともあり,インフラメンテナンスの知の構造化が必要と考える.本論稿では,インフラメンテナンスにおける知を構造化したものを専門知と呼ぶ.インフラメンテナンスにおける専門知を明らかにしないまま,AIの活用方法を検討することは困難であるという立場に立ち,国鉄のメンテナンスの歴史や看護などの他分野での実践知などの分析を参考にして,メンテナンスの専門知を明らかにした上で,ルールベースなどの演繹的な方法と,帰納的な方法との連携からAI活用の在り方を検討した.