2021 年 2 巻 J2 号 p. 261-271
国土交通省は,人口減少・超高齢化社会の傾向が都心部に比べて,より顕著な地方都市において,まちの郊外化や財政的懸念等から集約型都市の実現が必要であると指摘している.集約型都市への実現には,生活拠点を設定した上で拠点内の生活利便性と歩行回遊性を高めることが不可欠であり,中心市街地の活性化が重要であるといえる.本研究では,長野市中心市街地を対象として,トリップ数と移動距離から算出した移動抵抗を含んだ変数である目的充足度合いを作成した.この変数と中心市街地内活性化事業によって変化する可能性がある政策変数を組みこんだ回遊行動モデルを構築し,立ち寄り数のシミュレーションを行った.この結果から,組み込んだ変数条件値を変容させたことによって,市街地内の回遊行動にもたらされる立ち寄り数の変化が明らかになった.