2021 年 2 巻 J2 号 p. 370-377
本研究では石川県羽咋市を事例として,到達圏解析を用いて施設からの徒歩10分圏内の生活充足施設の有無,種類で各町の施設カバー率を得点化し,k-means法を用いて生活脆弱性の可視化と施設の撤退可能性を考慮した生活脆弱性の将来推計を行った.
分析結果として2020年と2045年の生活脆弱性を比較することで,高齢化の進展による徒歩可能範囲の縮小化と人口減少による施設の撤退が要因となり,準生活充足圏から準生活脆弱圏へ,準生活脆弱圏から生活脆弱圏へのシフトが見られた.また,生活脆弱性の高い地区が大幅に上昇する.生活充足圏が現状を維持するという結果になったが,これは生活脆弱性を持った町字から市の中心部への流入と集中化がみられ,都市そのものの縮小化が予想される.