2021 年 2 巻 J2 号 p. 386-392
構造物の長寿命化のためには,劣化や損傷を早期に発見することが重要である.その方法として,構造物の健全な状態と損傷した状態における振動特性の違いから損傷を同定する様々な技術が提案されている.しかしながら,自然災害や長期にわたる劣化などにより多くの箇所に損傷が発生する場合,それらを正確に評価することは難しい.そこで,振動特性として固有振動数と固有振動モードに着目し,複数の損傷を有する単純梁と片持ち梁を対象に,入力の異なる2種類のニューラルネットワークによる損傷の同定を試みた.本研究では,高次の振動モードおよび振動モードに含まれるたわみ角成分に着目し,同定精度に及ぼす影響を検討した.また,それぞれの境界条件に適したデータの前処理の必要性を示唆した.