2021 年 2 巻 J2 号 p. 578-588
豪雨時の斜面崩壊の発生には,土中の水分状態が大きく影響する.筆者らはこれまでに,体積含水率の現地計測データの再現に対するリカレントニューラルネットワーク(RNN)の適用性について検証してきた.既往の研究では,RNNによって構築された回帰モデルを用いることで,学習時よりも強い降雨時の現地計測データを再現できることを明らかにしたが,回帰モデルを構築する際の入力データの与え方,モデルを構築するための機械学習のアルゴリズムに関する検討が不十分であった.本研究では,それらを変更した回帰モデルをそれぞれ構築し,適切な回帰モデルの構築方法について考察した.その結果,入力データとしては実効雨量,機械学習のアルゴリズムとしてはRNNを用いることで,土質の異なる斜面においても十分な精度で体積含水率を再現できることがわかった.