2021 年 2 巻 J2 号 p. 933-943
防災上重要となるダムの高水予測には,物理モデルに加えて深層学習に代表される統計モデルも近年は活用されている.本研究では流入域における観測・予測雨量を入力としてダムへの流入量を予測する深層学習モデルを作成し,パラメトリックスタディを通して適切な入力情報について検討した.また,予測雨量の不確実性やモデル誤差が出力値に与える影響を表現する手法として,ベイジアンニューラルネットワークの利用を提案し,その有効性を検証した.数値実験からは,ベイジアンニューラルネットワークでは学習データの多寡に応じた出力値の不確実性を出力の信用区間に反映しており,学習範囲で稀に発生する極端な降雨による流入量も予測範囲に収めることが出来ることが確認された.